アンテナ基礎知識

電波とは

電波とは、光と同様に電磁波の一種であり、電界と磁界の相互作用により伝播します。
電波は光とほぼ同じ速度で規則的に振動しながら伝播し、距離が遠くなるにつれ弱まっていきます。
木やガラスなど電気を通しにくいものは通過しますが、金属など電気を通しやすいものに当たると反射します。

光や電波の速度は秒速約30万km(地球の約7周)

周波数とは

周波数とは、波(電波)が1秒間に振動する数のことです。
単位はHz(ヘルツ)で、1秒間に1回振動する電波は1Hz、1秒間に100万回繰り返す波であれば1MHz(1,000,000Hz)となります。
重さを 1000g(グラム)=1kg(キログラム)、長さを 1000m(メートル)=1km(キロメートル)と表すように、
電波の周波数もk(キロ)やM(メガ)、G(ギガ)などの補助単位が使われます。

1000Hz(ヘルツ)=1kHz(キロヘルツ)
1000kHz=1MHz(メガヘルツ)
1000MHz=1GHz(ギガヘルツ)

電磁波のうち、3THz以下の周波数のものを電波と呼びます。
また送受信を目的とした電磁波を指す場合もあります。

周波数

電波の波長とは

波長とは、電波が1回振動したときに進む距離(波一つ分の長さ)のことです。
受信したい電波の波長によって、必要なアンテナの大きさが変わります。

周波数と波長の関係

電波における偏波とは

偏波とは、電波の空間に対する向きのことです(を指します)。
大きく分けて「直線偏波」と「円偏波」の2つがあります。
電界が常に1つの平面内に存在する場合を直線偏波、電界が伝播方向に向かって回転する場合を円偏波と呼びます。
周波数帯域が近い放送波が近接している場合等に、電波の混信を避けるために異なる偏波を使用しています。

直線偏波は主に地上デジタル放送やFMラジオ放送などで使用されます。
直線偏波の中で電界が大地と平行な場合を「水平偏波」、 大地と垂直な場合を「垂直偏波」と呼びます。
水平偏波・垂直偏波
円偏波はBS放送や110°CS放送などで使用されます。
円偏波の中で電波の進行方向に向かって右回転するものを「右旋円偏波」、左回転するものを「左旋円偏波」と呼びます。

従来から使用されている右旋円偏波に加え、新たに左旋円偏波を活用し、新4K8K衛星放送が運用されています。 右左旋偏波

放送波に利用されている電波

FM FM放送・コミュニティ放送 (FMアンテナ)
VHF(L) マルチメディア放送・ワイドFM (FM補完放送)
UHF 地上デジタル放送 (UHFアンテナ)
BS BSデジタル放送 (BS・110°CSアンテナ)
BS:放送衛星(Broadcasting Satellite)の略称
スカパー! 110°CSデジタル放送 (BS・110°CSアンテナ)
CS:通信衛星(Communication Satellites)略称
スカパー!プレミアムサービス 124/128°CSデジタル放送 (スカパー!マルチアンテナ)
周波数と波長の関係

映像と電波(電波の強さと品質の重要性)

電波は、各放送機器に対応した周波数を使用して映像を届けるものですが、映像化にあたり、電波の強さ(電界強度)と品質が重要になります。

■電波は、アンテナと測定器を用いて測定して評価を行います。
■電波の強弱の単位は【dB】(デジベル)で表します。
■電波の強さの指標は【端子電圧】と呼びます。(測定器に入力された電波の強さ)
■電波の品質の指標は【BER】(ビットエラーレート)、【MER】(モジュレーションエラーレシオ)、【C/N】(キャリアノイズ比)で表します。
 BER:電波に乗った信号の中にどれだけ誤った信号が含まれているかの指標
 MER:発信時の本来の電波と、受け取った電波の差異を表した指標
 C/N:受信した信号(Carrier:キャリア:信号)と(Noise:ノイズ:雑音)の比率の指標

送信点からの距離や遮蔽、アンテナの向きなど諸条件によって、電波の強さ(電界強度)や品質が変動します。
地域やアンテナを設置する場所がどの程度の電界強度、品質であるかによって、使用するアンテナの種類や性能を考慮する必要があります。